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テナガコガネ Cheirotonus

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テナガコガネについては、日本、台湾、中国、タイなど多くの国が保護種としていて、現在多く流通しているのはベトナムくらいとなっています。それ以外では、ミャンマー、ラオス、インド、チベットにも魅力的なテナガコガネがいるのですが、ほとんど流通がなく入手が困難になっています。そもそもこれらの幼虫は大木の洞にしか生息できませんので、開発によって生息域が縮小されて、個体数が減少していることも入手な困難になっている要因だと思います。 こちらは中国南嶺山脈で採集されたヤンソニーテナガコガネですが、稀に古い標本が販売されていることがあり、気になったらすぐに買うようにしています。大きいサイズは先に売れて売れ残った小さいサイズばかりのようですが、クリーニングしたらきれいに蘇ってくれました。

ビロードツノカナブン Compsocephalus

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最近のお気に入りが アフリカのビロードツノカナブンで、いろいろと標本を集めだしたところです。しかしこの種は比較的高価で、今のところ安い標本にしか手を出せていません。下 の標本 Compsocephalus dmitriewi milishai は、採集者に名のあるフランス人から直接購入させていただきました。 いづれは、コンソセファルスCompsocephalus 全亜種をコンプリートしたいものです。 アフリカのビロードツノカナブンには、これだけの亜種がいます。 Compsocephalus dmitriewi dmitriewi Compsocephalus dmitriewi milishai Compsocephalus kachowskii kachowskii Compsocephalus kachowskii werneri Compsocephalus dohertyi Compsocephalus(Stephanocrates) beningseni Compsocephalus(Stephanocrates) preussi Compsocephalus horsfieldianus horsfieldianus Compsocephalus horsfieldianus calogeroi Compsocephalus horsfieldianus galinieri Compsocephalus horsfieldianus czeppeli Compsocephalus horsfieldianus noguchii 私は所有している標本はこのうちのほんの一部にすぎませんが、 dmitriewi milishai の他に dmitriewi dmitriewi , kachowskii werneri , dohertyi, beningseni, preussi をコレクションしています。中でも kachowskii werneriについては活き虫を飼育中で、羽化した成虫1オス6メスが活動待ちとなっています。 ーーー>4/20追記 dmitriewi dmitriewiのパープル型を購入し標本にしました。展足前はきれいなパープルに見えましたが、油抜きするとどちらかというとブラウンといった感じです。たぶん少し油が乗ればパープルに戻るのだ...

今年2025年の種親 ミラビリスとウムハンギ

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 最近飼育がマンネリ化してきたので、飼育種の銘柄入れ替えをしてみようと、ヤフオクで成虫を何点か落札しました。増種したのはタンザニアのノコギリで、ミラビリスとウムハンギです。 この種は何年か前にワイルドが大量に入って来たことがあって、この2種ともブリードにチャレンジしたのですがあえなく撃沈。それから長い間飼育をしていませんでした。アフリカのノコギリということもあって、この2種は独特の個性を持っており魅力的な種ですね。 学名:Prosopocoilus mirabiris 和名:ミラビリスノコギリ 産地:Mt.Usambara Tanzania 学名:Prosopocoilus umhangi 和名:ウムハンギノコギリクワガタ 産地:Mt.Uluguru Tanzania そしてこちらは血の入れ替え用で購入したのでついでに画像をアップします。 学名:Hexarthrius forsteri nyishi 和名:フォルスターフタマタクワガタ亜種ニシ 産地:Lower Subansiri District Arunachal Pradesh India 学名:Hexarthrius bowringi baminorm 和名:ボーリンフタマタバミノルム 産地:Lower Subansiri District Arunachal Pradesh India

ウガンデンシスがポギーになった件

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2024年3月の研究論文でMecynorhina属に関する大幅な見直しが入っていました。 その論文はこちら 要約すると、Mecynorhinaの5つの亜種について、DNAバーコーディング解析と交尾器の形状により、分類や亜種の考え方について大きな見直しが入っています。 私の好きなウガンデンシスとポギーはDNAバーコーディング解析の結果で大きな違いが見当たらないとして、Mecynorhina torquata ugandensisから、Mecynorrhinella poggeiになるとのこと。 あれだけ色彩変異のあるugandensisが緑色しかないpoggeiと同じ、何で?となりますが、immaculicollisとpoggeiは異なるようです。 その他、ポリフェムスはMecynorhina polyphemusとMecynorhina  confluensに分かれ、カメルーン、コンゴ産はconfluens、コートジボアール、トーゴ産はpolyphemusとなります。これについては、点刻の模様に違いがあるので、見た目でもおおよそは判断できます。 またサバゲイについては、日本ではどの産地もサバゲイでしたが、下記が正確な表記になります。  Chelorhinella bouyeri コンゴ南東部、ルワンダ、ウガンダ Chelorhinella romyae カメルーン、コンゴ、中央アフリカ Chelorhinella savagei シエラレオネ、リベリア、ギニア、コートイボアール、ガーナ、トーゴ 英文の論文のため、理解しきれていないかも知れませんし、また今後このように変わるとは限りませんので、2025年以降に出版される図鑑にて最終判断してもらえると助かります。 新しい分類による学名がこちら。 Mecynorrhinella oberthuri Mecynorrhinella torquata Mecynorrhinella immaculicollis Mecynorrhinella poggei   Mecynorhina polyphemus Mecynorhina  confluens Chelorhinella kraatzi Chelorhinella bouyeri Chelorhinella romyae Chelo...

キプロスヒメテナガコガネ Propomacrus cypriacus

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  昨年ヤフオクでペア標本が販売されているのを見つけたものの高価すぎて入手は無理だろうと諦めていたキプロスヒメテナガコガネだったが、 ebay で販売されているのを見つけてすぐに飛びついた。オス単だがサイズは31mmでとても状態の良い標本である。 最初はトルコヒメテナガの小さな個体かなと思ってじっくりと観察したが、 キプロス島から発信された活き虫を動画にしたYoutube を確認して、キプロスヒメテナガコガネと確信した。 このキプロスヒメテナガコガネの学名は、 Propomacrus cypriacus で、大きな個体で体長は40mmくらいである。キプロス島にのみ生息する固有種で、現在は絶滅危惧種となっている。 古くはトルコヒメテナガコガネ Propomacrus bimucronatus (以下 bimucronatus )と同一種とされていたが、キプロスの研究者により 2002 年に Propomacrus cypriacus (以下 cypriacus )として記載された。 樹齢 100 年を越えるオークの大木などを好み、その樹洞にて繁殖しているが、森林伐採により絶滅の危機に瀕している。(他のテナガコガネと同様である。) 左からトルコ産 bimucronatus オス 36 ㎜、中央がギリシャ産 bimucronatus オス 28 ㎜、 右が cypriacus オス 31 ㎜である。 前胸の尖った部分は bimucronatus にそっくりだが、アームの先端形状が明らかに異なり、 cypriacus については大型の個体でも先端の突起が発達しない。 メスは尻先が少し尖っており、簡単に雌雄判別が出来る。 2024 年 7 月に公開された研究論文「 DNA barcoding reveals a taxonomic fraud: Note on validity of  Propomacrus   muramotoae   ( Coleoptera ,  Scarabaeidae ) 」によると、亜種とされていたチベット、ブータン産の Propomacrus   muramotoae は DNA バーコーディングの解析により bimucronatus と断定された。その論文は...

ブリード済み標本と成人式

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  今日は姫路市の成人式。もう40年も経ってしまったけど友人と行った思い出があります。お年寄りへの質問で、今1億円もらうのと20歳に戻れるのとどちらか選べるとしたら、どっちを選びますか?というのがあるけど、人生巻き戻してまた苦労しなきゃいけないのが嫌なので、私だったら1億円もらうほうを選びます。 そういえば、20歳くらいの頃に「ものぐさ精神分析」という本を読んだんですが、その中で老人になると盆栽や陶器などの骨とう品を収集する人が多くなる理由として、肉体的に不能になる性欲を満たすために、それを女性に見立て代品として済ませるために蒐集を始めるようになると書いてありました。 笑い話ですが、私は虫に産卵してもらって無意識のうちに性的欲求を満たしているのかもしれません。 前置きが長くなりましたが、こちらは去年の10月頃から年末にかけてブリード済みの標本です。(一部採集品のヒメオオなども含む) 良く産んでくれたのがオーベルチュール、ウガンデンシス、アクベシアヌスミヤマ、ババクルビデンスでしたが、特にオーベルチュールは産卵セットに1オス2メスを一緒に入れたら爆産してくれました。マットは微粒子のカブトマットという先入観がありましたが、粗目の安物カブトマットで十分でした。 残念な結果がペーニャヒメゾウカブトです。結局5ペアくらい使って産卵させましたが2メスはゼロ、残る3メスで幼虫30頭くらいしか採れませんでした。どんな種類でも1メスで100卵は産卵する実力があるはずなので残念な結果です。他にはワイルドのポリフェムスは幼虫6頭、中国ワイルドのデンティクルスゲンシミヤマに至っては幼虫2頭だけと悲しい結果でした。

ゴライアスオオツノハナムグリの飼育考察 Goliathus goliatus

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  旧ブログで投稿したゴライアスのブリード考察の記事について、幼虫と成虫を大きくするという点に着眼して見直しました。 基本的な幼虫飼育やワンダリング後の管理方法についてはほぼ問題のないレベルに来たので、ここ2年ほどはいかにすれば幼虫が大きく育つかという点に着目して試行錯誤を重ねました。2024年の結果は幼虫の最大体重84g、土繭径91mm、成虫サイズ85mmで、惜しくも90mmを越えることが出来ませんでした。今年はクワドリのフルホワイト個体を種親として、幼虫体重90gオーバーを目指したいと思います。 1.温度管理  室温の管理は、通年を通してエアコン設定22度で、棚の位置によって冬季18-22度、夏季22-26度と多くの飼育種に対応するため温度分布にムラが出るようにしており、ゴライアスの幼虫は22度前後のところに置くようにしています。 カメルーンの年間気温推移と、84gの幼虫体重推移と照らし合わせて表にしました。 カメルーンでは、乾季となる11月~翌2月までが成虫の活動時期となっています。年中エアコン管理された部屋でブリードを続けていると自然のサイクルとずれてしまうことがしばしばありますが、どのような虫であっても羽化時期や産卵時期など、できるだけ自然環境に合わせた方が良い結果に繋がるのではないかと思っています。偶然と言えますが、冬場にエアコン管理された室内はやたらと乾燥するので、ゴライアスには合っていると言えそうです ( ´∀` ) 上記の表から、自然界では11月頃から小型のオスやメスが活動を始め、早いもので12月には初令幼虫となるのではと想像します。 比較対象の84g幼虫は9月孵化でしたが、結果的には自然界のサイクルに合わせて10月に羽化し、1月に活動開始しています。幼虫の成長段階では12月から急激に成長し、その後4-5カ月を経て84gになりました。 理想の幼虫期間という行に記載の通り、飼育環境下における理想は12月に孵化し、1年後の1月に羽化させれば自然サイクルと合致させることができ、大きな幼虫サイズが望めるのではないかと思われます。 2.幼虫ステージ(L1→L3)  <初令L1> 飼育容器は200ccのプリンカップにカブトマットを半分ほど入れ、極度なマットの乾燥に気を付けながら飼育します。 この時サプリを与える必要はありません。早くから食べる幼虫もいま...